何時の間にか自分は

 何時の間にか自分は海の上に居た。見える物は荒れ狂う海の波だけだ。自分は、海に浮かびもがく、小さな生物に変異したようだ。大きな波がほんの小さな自分の生命を奪っていく。それはまるで波が自分の中の死神を洗い流す。そんな感覚があった。

 それ以外に自分の頭にあるものは、大下の口ずさむメロディだけだ。そのメロディが、何時までも呪文のように木霊していた。『誰かが自分の後ろに居る』

 そう気配を感じて振り返えった。そこには大下の顔が有った。彼の口がゆっくりと動きだし、自分に向かって話しかけて来る。「野田、来いよ。お前も見たいんだろ、処理する所を」「ああ……」「見せてやるよ、処理する所を……。見る以上、お前にも責任はあるぜ。覚悟しろよ」「いや、自分には無い」

 その時、目を開いた女性の顔が浮かんで来た。「やめろ。やめるんだー」そう叫ぶ自分の声で夢から醒めた。鼻頭に滲んだ油汗が、頬を伝わり布団に落ちていく感触があった。「またか。休みの日には、必ずこの夢を見る」

 そうつぶやきながら身体を起こし、壁に掛けてある時計を見る。時計は月明かりに照らされて、宙に浮かんでいるように見えた。喉の渇きを覚え流しの前に立 つ。蛇口を捻りほとばしる水を見た。流しの底に当たり一定の法則を持たない水滴が跳ね返り、自分の記憶を呼び覚ます……いきなり怒りが込み上げてに続く。

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